スーパーカミオカンデ実験 (少し更新しましたが未だ工事中)

1 装置の概略
スーパーカミオカンデは、1995年に岐阜県吉城郡神岡町(現飛弾市神岡町)にある神岡鉱山茂住坑内地下1000メートルの位置に建設された、世界最大のニュートリノ観測装置です。タンクは内水槽と外水槽にわかれ、それぞれ32、000トンと18、000トンの純水からなっています。外水槽は外部からの放射線を遮蔽するためのものです。外水槽は1、867本、内水槽は11、146本の8インチの光電子増倍管(PMT:Photomultiplier)で覆われています。光電子増倍管は、電荷を持った素粒子が純水中を光速に近い速度で走った時に出す、青白いチェレンコフ光と呼ばれる光をとらえ、その光の強度や方向などを測定して、ニュートリノが起こした素粒子反応や陽子崩壊を観測します。スーパーカミオカンデはカミオカンデに比べて、体積で17倍、光電子増倍管の取付密度で2倍となっており、大幅に性能アップがはかられています。

2 研究の目的
2.1 ニュートリノ宇宙物理学
太陽や超新星爆発では謎の素粒子ニュートリノを大量に作っていると考えられています。また、地球大気に飛込んでくる一次宇宙線は、大気中の酸素や窒素と核反応を起こしてニュートリノを作り出します。これらのニュートリノを精度良く観測して、太陽内部の核融合反応によるエネルギー源の解明や超新星爆発機構の研究、そしてニュートリノの素粒子としての性質(質量の有無)を決定づけるニュートリノ振動について研究します。
2.2 大統一理論の実験的検証
素粒子に働く力は、強い力、電磁力、弱い力、重力の4種類が知られています。電磁力と弱い力を統一して理解する電弱理論は既に確立されています。素粒子物理学の次のステップとして電弱力と強い力を更に統一する大統一理論が考えられています。大統一理論は、万物の基本的構成粒子である陽子(水素の原子核)がいずれは崩壊して無くなってしまうこと、また、バクテリアほどの重さを持つ素粒子モノポールが宇宙に存在することを予言しています。陽子崩壊の瞬間を探したり、宇宙にモノポールを探すなどして、大統一理論の実験的検証を目指しています。
2.3 暗黒物質の探索
宇宙には、電波や光では観測することができない暗黒物質が水素や酸素などの普通の物質量に比べて10倍以上も存在すると言われています。ニュートリノの観測を通して、暗黒物質の正体に迫ります。
3 研究の成果
3.1太陽ニュートリノの研究
太陽のエネルギー源が水素原子核と水素原子核の核融合反応(pp連鎖反応)であることを検証すると共に、ニュートリノが太陽の中心から地球までの飛来する間に受ける物質の影響によるニュートリノ振動の有無を調べて、ニュートリノの特性に関する研究を行っています。
太陽ニュートリノの観測は30年来アメリカのR.Davis.Jrが塩素を用いた実験によるり行われてきました。その結果、太陽ニュートリノの観測数が理論予想の約30%しかないという「太陽ニュートリノ問題」を提唱し、この理論との不一致の正当性について別の観測手段による更なる研究が必要でした。1983年、陽子崩壊探索用に作られたカミオカンデは、陽子崩壊の理論的な下限値をあっさり否定してしまい、次の標的を太陽ニュートリノとしました。そのための改造により、1987年から太陽ニュートリノの観測に入リました。太陽ニュートリノは3日に1回の反応しかしない稀な現象であったので、大量のごみの中から宝石を探すように良い虫眼鏡(実際にはコンピュータプログラム)を開発しては、1週間くらい徹夜でデータが入ったテープを回しながら解析をしました。その結果、やはり太陽ニュートリノは理論値の約半分程度しかないという結果を得て、R.Davisの結果を追認したのでした。しかし、カミオカンデの結果は太陽内部で本当に核融合反応が起きているという直接的な証拠であり、ニュートリノ天文学の先駆けになったのです。
その後、ガリウムを使った実験が1990年代に始まり、やはり観測量が理論値の約半分と言う結果が得られました。ここで、問題なのはガリウムが観測している太陽ニュートリノがpp連鎖反応の最初の反応である重水素生成反応からできるニュートリノまでも減っているのかという疑問でした。この反応は太陽の光度(ルミノシティ)を決めており、理論の誤差も1%以下であるので、早々に減らすわけにはいけないのです。しかし、塩素実験やカミオカンデが観測しているホウ素8の崩壊から出てくるニュートリノ(全体の1万分の1しかない!)が、観測されていることから、太陽標準理論が間違っていると考えにくくなりました。そこで、これらの実験結果をうまく説明できるニュートリノ振動が俄然注目されてきたのです。
研究結果
スーパーカミオカンデでは、1496日分の観測データから22、385+-230個の太陽ニュートリノを観測しました。このニュートリノの観測数は太陽標準理論が予想する数の47%しかありません。
しかし、理論との不一致を示巣数値は両者で異なっており、太陽のエネルギー発生の理論は単純に変更刷ることによって、この不一致を説明刷ることはできません。
この結果を、SAGE及美GALLEXと呼ばれる観測グループの結果と共に総合して考得ると、ニュートリノ欠損の問題は太陽物理学の問題ではなく、むしろニュートリノ振動によって引器起越されている可能性が強よ卯です。今後スーパーカミオカンデによる精密な観測結果が待垂れています。もし、太陽ニュートリノの問題が、ニュートリノ振動によって引き起こされているとすると、ある場合には、夜と昼の太陽ニュートリノの数が違うということが理論的に予告されています。昼と夜の太陽ニュートリノの強度を比較しましたが、有意な差はありませんでした。
3.2 大気ニュートリノの研究
大気ニュートリノとは、陽子などの宇宙線が大気と衝突して生成されるニュートリノで、その種類は電子ニュートリノとミューニュートリノの2種類があります。
これらの成分比 (R=ミューニュートリノ / 電子ニュートリノ)は、生成過程からおよそ2と予想されますが、ニュートリノに質量が存在すると、ニュートリノの種類が変化するニュートリノ振動と呼ばれる現象が起こると考えられています。もしこの現象が起こっていると、観測された成分比ももはや2ではなくなります。また、ニュートリノ振動はニュートリノの飛行距離によるため、天頂角方向によって観測される数が異なる可能性があります。実際、スーパーカミオカンデの前に行われていたカミオカンデによる観測では、成分比は2ではなく、むしろ1に近く、またエネルギーが1。3G得V以上では成分比が天頂角によって異なるという、ニュートリノ振動を支持刷る驚くべ器結果が得られ真下。
そこでスーパーカミオカンデでは、カミオカンデの20倍者統計量を活かして大気ニュートリノを精密に観測することにより、ニュートリノ振動を検証します。
研究結果
スーパーカミオカンデ535日分のデータ解析で、エネルギーが100M得V(1億電子ボルト)から1。3G得V(13億電子ボルト)の成分比を調べた結果、成分比は2という予想値に対して1。2となりました。これはカミオカンデの結果と良区一致しています。
1。3G得V以上というエネルギーの高い領域で成分比を調べたと頃、電子がシミュレーションの予想とあっているのに対して、ミューオンの上向器事象が下向器事象の約半分しか観測去れませんでした。これは地球の反対側からやってくるミューニュートリノがタウニュートリノに振動していると考得られます。
これらの結果からニュートリノに質量が存在していることが明らかになり、ミューニュートリノとタウニュートリノ間のニュートリノ振動のパラメータは図の領域のみが許される結果となりました。
3.3 陽子崩壊
今日では、物質の基本粒子はクオーク(3個で1個の陽子や中性子になる)とレプトン
(電子やニュートリノ)であることが明らかになっています。また自然界で物質に働く
重力、電磁気力、強い力、弱い力の4種類の力のうち、弱い力と電磁気力を統一する
電弱理論は確立されています。現在では弱い力、電磁気力に加え強い力も統一される
という大統一理論が提唱されています。大統一理論では、物質を作る陽子も永久不滅
ではなく崩壊し他のより軽い粒子になってしまうことが予想されています。つまり、
陽子の崩壊が発見されれば大統一理論が正しいという証拠になります。カミオカンデ
での研究の後、SKが建設されSKにより陽子崩壊の研究がなされています。
研究結果
カミオカンデでは有効重量880トンの水の中にある3×1032個もの陽子から陽子崩壊を
探しました。このことから陽子の寿命が1032年だとしてもうまくいけば数年の観測で
陽子の崩壊を見つけられることになります。予想では、陽子の寿命は1029年でした。
しかし発見には至らず、陽子が陽電子とπ0中間子に崩壊する場合の寿命は、2.5×10
の32乗年以上という結果を得ています。これは最初考えられていたもっとも単純な
理論モデルを否定しています。 現在のところスーパーカミオカンデでもまだ陽子
崩壊は観測されていません。ですが理論的にはもういつ観測されてもおかしくない
はずで、今後の観測が期待されています。
3.4 超新星爆発によるニュートリノバースト
太陽の8倍より重い恒星が進化して終焉を迎るとき、超新星爆発(すなわち空にある星が
突如急激に明る区なる現象)として観測去れます。私たちに一番身近な恒星は太陽
ですが、恒星は内部で水素の核融合反応を起越すことにより、自身を支得たり光や
熱を発し足りています。しかし内部の水素が燃絵尽着てしまうとヘリウムが核融合を
始目酸素や炭素などの重い物質が生稀遂には鉄が生稀増す。そうなると自身の重差を
支得られなくなり、内部に向科って崩壊を始目増す。この時、巨大な圧力により陽子
と電子が結合して中性子が生稀、中性子星が誕生します。同時に大量のニュートリノ
が生成され、また衝撃波が表面へ広がり爆発が起こります。SN1987Aは隣の銀河、
大マゼラン星雲で起こった超新星爆発で、この超新星爆発からのニュートリノが
カミオカンデで11例検出去れました。爆発後に中性子星が残ると信じられています。
4 さらなる研究に向けて
