InP半導体検出器による制動輻射バックグラウンド測定実験 (速報)

平成20年1月より、4年生の神永友輔、三宅悠子の両名により、InP半導体 検出器による115Inの自然ベータ崩壊事象の観測と、ベータ事象による 制動輻射バックグラウンドの影響を調べる実験を開始した。本研究は 科学研究費補助金 基盤研究(B)「InP太陽ニュートリノプロトタイプ測定器 を用いた制動輻射バックグラウンドの研究」および旭硝子財団奨励研究助成 「III-V族化合物半導体による放射線検出器の開発」により実施している。 逐次、最新結果を報告する予定である。


実験は、鉛と無酸素銅により遮蔽体を構築し、その中にInP検出器とCsI シンチレーターを設置し、プラスチックシンチレーターをvetoカウンターとして 用いた。InP検出器は これまでの発表のように、10mmX10mmX0.2mmの世界最大の 大きさを有し、小型の冷却容器に格納しドライアイスで冷却を行った。 最初に取得した10時間のデータを解析した結果、InP検出器で観測した事象が 115-Inの自然ベータ崩壊事象と捉えている可能性があることがわかった。 一方、CsI検出器にはInP検出器と向かい合わせにした場合に明らかな バックグラウンド事象の増加を観測しており、制動輻射事象が観測されたと 思われたが、解析の結果からCsIに含まれるU/Th系列のバックグラウンドである 可能性が高い。(平成20年2月22日)

データ解析した結果を、卒業論文にまとめました。 (平成20年4月2日)


<文責> 宮城教育大学 准教授 福田善之